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火山系フリーターの落書き帳

火山学者が書かない秘密の話。

火山学者になる方法その2。火山学者ってどんな仕事してるの?

1.はじめに

以前書いた火山学者になる方法に引き続き、もう少し話を紹介してみます。

2.火山学者はどんな仕事をしているの?

火山学者になる方法で触れたとおり、火山学者といってもその専門はさらに細分できるため、一概にこうとは言えません。 ただ、いくつかの例をご紹介することは出来ます。

例えば、火山地質学を専門にする火山学者は、ひたすら火山を歩き、噴出物の分布やその厚さ・特徴などを調査します。 噴出物の分布が分かれば、調査対象の火山の過去の噴火で、溶岩や火砕流などがどの程度発生したかを推測することが出来ます。 これが分かれば、将来同程度の噴火が発生した場合に、どの範囲に被害が及ぶかを予測することが可能になります。

この研究は、火山体を理解する基礎的な研究であるとともに、ハザードマップの作成にも役立ちますね。

噴出物の分布が分かった場合、それに年代という情報を与えることで、その噴出物が今から何年前にもたらされたのか推定することが可能になります。これを行うのが年代学者の仕事です。

歴史時代の噴火は古文書に記録が残っていることもあるのですが、紀元前の噴火は地層の情報から判断するしかありません。 例えば、高温の火砕流によって炭化した木が含まれている場合、炭素同位体である14Cを利用して年代を推定することが出来ます。 14Cはせいぜい数万年程度までしかさかのぼれないため、それよりも古いものを調査するならカリウムアルゴン法などを利用することになります。

あなたが火山の図鑑やハザードマップなどをご覧になって、どうやって過去の噴火年代を推定しているのだろう?と疑問に思ったことはありませんか。それらは、おそらく14CやK-Ar法など、同位体を利用した年代測定で明らかにされています。

年代とともに知りたいのが、噴火をもたらしたマグマの特徴です。 どのような時間変化をたどってマグマがもたらされるかが分かれば、それは将来の噴火予測にも役立つからです。

例えば、カルデラ噴火と呼ばれる壊滅的な噴火では、シリカ量に富むデイサイト~流紋岩質のマグマが大量に放出されることが知られています。 もし、このマグマがどの程度のスピードで地殻中に貯留されていくのか、また破局噴火前に、どのようにこのマグマがもたらされるかが分かれば、 将来の破局噴火の可能性を予想することが可能になります。

マグマの組成を調べるのは火山岩石学者です。高度な機器を利用し、噴出したマグマの特徴を明らかにし、そこから地下の様子を推定します。

このような火山の基本的な情報に併せて、GPSや地震計など現代の最新機器を利用しての研究も行います。 特に、歴史時代も噴火を繰り返した活火山には、これらの観測は必須です。

GPSや地震計を利用すれば、火山体の移動・膨張・縮小などの変化を捉えることができます。 一般に火山体の地下にマグマが供給されると、火山体が膨張することが知られています(2点間のGPSの間隔が広がる)。 その観測データに基づき、過去の噴火時の山体変化や、将来の噴火予想をするのも火山学者の仕事です。

火山学者になる方法でも述べたとおり、一人の火山学者がこれら全てを行うわけではなく、何人かの研究者がそれぞれ平行して研究を進めるようになっています。 もちろん、時には連携して、連名で研究成果を発表するのです。

3.火山学者はみんな噴火中の火山から溶岩を採取するの?

海外の火山研究者を取材する番組で、「流れているドロドロの溶岩を直接採取する」というシーンを放映することがあります。 防護服を着ていたり、足元から炎があがったりと、かなり過激なシーンです。

もちろん、全ての研究者がこんな過激な試料採取は行いません。

少なくとも日本の場合、噴火中の火山に入る場合には許可が必要になります。 そういった現場には「精鋭チーム」が向かうことになりますから、安心してください。

なお、日本の典型的な火山は、安山岩質かデイサイト質のマグマを噴出するため、そもそも溶岩が流れにくい特徴があります。 どちらかというと山頂付近に溶岩ドームを作り、それが崩壊して火砕流を引き起こすことが多いため、噴火口に接近するのはかなりの危険が伴います。

4.おしまい

以上です。

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