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火山系フリーターの落書き帳

火山学者が書かない秘密の話。

論文掲載までの流れってどうなってるの?

1.はじめに

なんとなく思い立って、海外の雑誌に論文を投稿した際の、掲載されるまでの流れを紹介してみます。

修士よりも先に進む場合、研究成果の論文投稿はかなり重要になってきます。 特に、博士は査読付き論文の有無が卒業要件に関わったりするのでちょっと大変です。

以下、筆者が知る範囲を元にしますが、必ずしも同じプロセスとは限らないので、詳しくは投稿雑誌の公式ウェブサイトを参照のこと。

なお、火山学系の雑誌と言えば、JVGR(Journal of Volcanology and Geothermal Research)やBV(bulletin of volcanology)、CMP(Contributions to Mineralogy and Petrology)あたりが有名です。 日本の雑誌で言えば、火山学会が発行する「火山」や、地質学会が発行する「地質学雑誌」が定番です。

2.論文を書く

まず、論文を書きます。

学生が論文を書く場合、自身がファーストオーサー(論文の発表者)、指導教員がセカンドオーサーと共著になることが普通だと思います。 そのため、論文投稿前に研究成果(特に考察部分)において、指導教員との合意形成が必要です。

海外の研究者を納得させるための論文なのですから、指導教員すら納得させられないようでは、詰めが甘いです。 いろいろと熟考が求められます。

とはいえ、上述のように論文の有無が卒業に直結している場合、全てを100%に仕上げて出すには時間的な余裕が無い場合もあります。 時には一部成果は次回の論文に回すなど、妥協点探しも必要だと思います。

このあたりで躓くと、3年間での博士号取得は難しくなります。

3.論文投稿

そんなわけで論文が完成したら、任意の雑誌社に論文を投稿します。 最近は、ウェブフォームからのオンライン投稿が多いので便利です。

論文投稿後は、雑誌社の編集部のチェックを経て、査読期間に入ります。 おおよそ数ヶ月かかることが多いので、長い長い待ち時間です。

のんびり出来ますが、一方でどんな査読結果が帰ってくるのか・・・と戦々恐々とする期間でもあります。

4.査読について

一般に、査読は2名以上の同ジャンルの研究者によって行われます。 研究実績のある人に回ることが多いので、結構手厳しいコメントが帰ってきます。

例えばJVGRの場合、査読結果に対するファーストオーサーのレスポンスが60日以内という期日が設定されていて、泣きそうになったことがあります。 朝の4時半まで直していたなど、今思い出しても良い思い出ではありません(笑)

さらに、時には検討不足だとして「受付拒否(リジェクト)」を言い渡されるときもあります。 博士在籍時のように、期限内になんとしても掲載させたい時のリジェクトは悲惨です。

研究成果を出すのは楽しいと思えても、それを世界に向けて公表するのは本当に難しいです。 よその国の第一線の研究者を納得させるには、やはり相応の取り組みや物事を的確に伝える能力が求められると思います。

特に、研究データが複雑怪奇になって、自分以外誰も理解できないだろう・・・という状況になるとなおさらです。

5.査読通過後~論文掲載まで

査読結果がリジェクトではなく、修正稿を提出した場合、エディターのチェックを受けて論文受理(アクセプト)になるか、再度査読に回るかの判断が行われます。 通常は、このままアクセプトになることも多いと思います。

アクセプトになった場合には、雑誌に載せるための体裁整えなどが行われるため、再度論文の微修正を行う場合があります。 アクセプトにならなかった場合には、査読からのプロセスのやり直しです。

スムーズに事が進んだ場合、論文投稿から掲載までに約半年程度です。 最近はオンラインでの公開が早期に行われるため、査読通過後の論文は数週間程度でオンラインで閲覧できるようになります。

スムーズに事が進んだ場合、論文投稿から掲載までに約半年程度です。

オンラインで公開されると、TwitterとかFacebookでシェアしてね!ってメールも来たりしますが、日本の研究者はそこらへんのアピールはあまりやってないような気がします。 そういう暇が無かったり、HTMLが扱えなかったり、そもそもウェブに関する知識を持ち合わせていなかったりと、いろいろ事情が考えられます。

このあたりのアピールの仕方は、デジタルネイティブ世代のほうがきっと得意ですね。

6.おしまい

以上が論文投稿から掲載までの流れです。

ちなみに、火山のような国内誌への投稿は、日本語が使えるために楽と言えば楽です。 が、どうしても日本語の論文は低く評価される傾向にあるので、執筆に投じるエネルギーがちょっともったいない気がします。

よほどローカルなネタでなければ、積極的に国際誌を狙っていくのが良いと思います。

あぁ耳が痛い。

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